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ACSメールマガジン V.006 2004年8月13日(木)発行

《規制改革・民間開放推進会議 中間とりまとめ》について

 本年4月に発足した内閣府に設置された規制改革・民間開放推進会議は、さる8月3日、『中間とりまとめ-官製市場の民間開放による「民主導の経済社会の実現」-』を決定し公表しました。そのなかで、介護に関わる部分を抜粋し、以下に紹介しましょう。
 (全文は、http://www.kisei-kaikaku.go.jp/index.htmlを参照)
 この『中間とりまとめ』に対し、厚生労働省は、8月5日、『規制改革・民間開放推進会議「中間とりまとめ」に対する厚生労働省の考え方』を公表しています。この内容を、後半で紹介します。
 (全文は、http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/08/h0805-2.htmlを参照)

中間とりまとめ
― 官製市場の民間開放による「民主導の経済社会の実現」―

U.官製市場の民間開放の意義等

1 官製市場の民間開放の重要性

 他方、官製市場では、競争原理が十分機能しないために、経済社会環境の変化に十分適応できておらず、国民の負担と引き換えに非効率なサービス・提供主体が保護・温存されている。また、財政的な制約によりサービス等を質量ともに充実することもままならず、長い待ち行列ができる等の弊害が顕在化しているのが現状である。

 このような民間開放を行うことの意義は、以下のとおり総括できる。
(1)競争原理の導入を通じて民間の知恵と努力が発揮されることにより、当該事業の効率性・創造性が向上し、より多様で真に国民の求めるサービスの提供等が可能となる。
(2)社会環境が複雑化し、行政需要が変化・拡大する中で、官は、真に官が行うべき必然性がある業務に特化し、官内部における人的資源等の適正配分を達成すること等により、行財政改革の実を享受することができる。
(3)以上の過程で、民間の新しい知恵により、新たなビジネスチャンスを創出して、需要と雇用の拡大等、経済の一層の活性化を図ることができる。

2 官製市場の民間開放に向けた当会議の取組

(2)主要官製市場の改革の推進
 サービスの提供主体が一定の法人等に限定されている等公的関与の強い分野については、総合規制改革会議において、「構造改革特別区域制度」(以下「構造改革特区」という)という先行的・試行的に規制改革を推進する仕組みを活かしながら、精力的な取組を展開してきた。構造改革特区においては、病院や学校の経営等について、条件付きながら株式会社等の参入が認められる等、徐々にではあるが、民間開放が実現しつつある。しかしながら、それらは限定的なものに止まっており、一段の取組が必要である。
 当会議においては、これまで総合規制改革会議が積極的・集中的に取り組んできた「規制改革推進のためのアクションプラン・17 の重点検討事項」等を踏まえつつ、医療、介護、教育の各分野について、従来に増して利用者・消費者の視点を重視した規制改革、民間開放を推進する。いずれの分野においても、サービスの利用者・消費者の自由な選択が基本に据えられるべきであり、それを妨げたり、歪めたりしている規制・制度の改革を通じて、官と民との柔軟な組合せや、対等な競争を可能とし、潜在的な需要を掘り起こすとともに、新たな需要を創造していくことが重要である。そうすることにより、民間の創意工夫が発揮される余地が拡大し、それが利用者・消費者の利益につながるという好循環が形成されることを期待する。
 以上の主要官製市場の改革は国民生活と密接に関わるだけに、利用者・消費者に対し改革に当たっての論点を明らかにするとともに、改革を選択することが結局は自らの利益につながるとの社会的なコンセンサスを作り上げていくことが重要である。

X.主要官製市場の改革の推進

2 介護分野

(1)施設サービスと在宅サービスの一元化
【現状認識】
@ 平成12 年4月の介護保険制度の施行により、高齢者介護は、行政が介護を必要とする者を選定し、措置する行政処分の制度から、利用者自らが必要なサービスを選択し、その提供主体と対等な立場で契約を結ぶ利用者本位の制度へと転換した。施行後、要介護認定者数は218 万人から377 万人へ、給付費は3.2 兆円から4.8 兆円へと大幅に増加しており(いずれも平成12 年度と15 年度の実績比較)、高齢化の一層の進展に伴い、介護サービスに対するニーズは、今後、ますます増加、多様化するものと予想される。このような中、利用者が真に必要とするサービスを適切に選択できるような環境を引き続き整備することが重要である。
A 現在、特別養護老人ホーム(以下「特養」という)等施設サービスでは、家賃、光熱水費、食事提供費(いわゆるホテルコスト等)が介護保険の給付対象となっている一方、特養とほぼ同様の機能を持つグループホームや特定施設(民間有料老人ホーム等)は在宅サービスと同様、ホテルコスト等は利用者の自己負担となっている。(資料 介護1参照)
 このため、利用者の施設サービス志向が高まり、必ずしも施設サービスを必要としない利用者までもが入所を申し込み、長い行列待ちの状態が生じている。中でも特養の利用料は、実質的に月額約4万円、すなわち3食24時間介護付きで1泊千円強という低価格となっており、利用者の負担が極端に少ない。そもそも介護保険は要介護状態となることのリスクに対応するためのものであり、要介護状態にあると否とにかかわらず発生するホテルコスト等は、本来、介護保険でカバーすべきでない。
B なお、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(平成16 年6月4日閣議決定)においては、「在宅と施設の給付範囲の不均衡の是正及び年金との重複給付の調整等を図る観点から『ホテルコスト』、食費等の利用者負担の見直し」を行うとされている。
【具体的施策】
@ 介護保険3施設のホテルコスト等の利用者による負担等【平成17 年度中に措置】
 措置制度時代の残滓とも言える「施設と在宅」という二元的なサービス体系を改め、介護保険3施設のホテルコスト等は基本的に利用者負担とすることで、施設をいわば「介護ケア付き賃貸住宅」とみなし、介護保険の対象をケアサービスに限定すべきである。
 そうすることにより、介護される場所に関わりなく、同等のケアサービスには同等の保険給付が行われ、利用者負担の均衡化が図られ、真に施設サービスを必要とする利用者の入所が可能となる。なお、利用者が支払ったホテルコスト等に見合う居住環境、食事内容が確保される必要があり、このうち居住環境に関しては、将来的には個室利用が原則とされるべきである。
また、従来、社会福祉法人への施設整備費補助を通じて、地域の介護施設の新設が抑制されていた状況と比べて、ホテルコスト等を利用者負担とすることにより、多様な施設ケア(介護ケア付き住宅)間の競争条件の均等化が図られることになる。それにより民間企業等の新規参入が促され、競争を通じて質量両面で介護サービスの充実が期待できる。
ホテルコスト等を利用者負担にすることに伴い、通所介護での食事の提供やホームヘルパーによる調理に対する保険給付も利用者負担とすることが合理的である。また、ホテルコスト等の自己負担に耐えられない低所得者については、リスクに対処するための介護保険に拠るのではなく、家賃補助制度、住宅扶助等生活保護制度の弾力的な対応を図ることが適当である。
 施設か在宅かという二元的なサービス体系を改めることは、ケアサービスと居住サービスを組合せた多様なサービスの提供につながることが期待される。それによって、利用者が家族形態や心身の状況変化に応じて住居を住み替えたとしても、また、自宅以外の場所においても、要介護度に応じた真に必要なケアサービスを継続して利用しながら生活をおくることが可能になる。
A 社会福祉法人への施設整備補助の廃止
【平成16 年度中に結論、平成17 年度中に措置】
 ホテルコスト等を利用者負担とすることにより、特養の主たる運営主体である社会福祉法人とそれ以外の経営主体との間の競争条件は現状に比べ対等なものに近づくと考えられるが、依然として社会福祉法人に対しては国・地方公共団体による施設整備補助(費用の4分の3)が行われていることから、上記のような措置を講じてもなお完全に対等とは言えない。そこで、ホテルコスト等を利用者負担とすることを前提に現行の施設整備補助についても廃止すべきである。そうすることにより、競争を通じた選択肢の拡大とサービスの充実が期待される。なお、その際、社会福祉法人の効率的な運営に寄与する規制緩和を併せて検討する必要がある。また、老人保健施設への補助金、療養型病床群の施設建設費用償還分の介護保険給付についても、同様の観点から廃止すべきである。
B サービス内容等に係る情報の開示【平成16 年度中に措置】
 介護サービスの利用者による適正な選択に資するため、保険給付の対象となるケアサービス、保険給付の対象とならないケアサービスならびに居住サービスの内容、料金等について、サービス提供主体による情報開示を徹底すべきである。その際、公正中立的な第三者が確認等を行うことが重要である。
 また、民間有料老人ホーム等の特定施設についても、ア 居室の利用、保険給付対象のケアサービス、食事の提供その他日常生活上必要なサービス等の費用を明確に区分するとともに、イ 中途解約で利用者が著しく不利となることがないよう、利用者に対する契約内容の明示(例えば要介護状態となった場合の個室での利用条件、入居一時金の返還金に関する規定等)を徹底すべきである。

※ 規制改革・民間開放推進会議に設置されている個別分野別ワーキンググループの検討課題を見ておきましょう。

福祉・保育WG の検討事項

福祉・保育WG 主査
八 代 尚 宏

 福祉・保育WG は、これまでのアクションプランや答申等で取り上げたテーマのフォローアップを中心に、必要に応じて新規案件を取り上げつつ検討を行う。
 更には、主要官製市場改革WG のテーマの中から派生するテーマの受け皿として、補助的に検討を行う。
<検討事項例>
−1− 福祉
1.フォローアップ事項
(1) 介護職の業務範囲等
・ ALS 以外の在宅患者に対する痰の吸引等の行為について、医師法上の取り扱いを明確化。
・ 対象となる行為は、例えば、@インシュリン注射A経管栄養B胃ろうCIVHD在宅酸素E尿道カテーテル(バルン)F人工肛門(ストーマ)GじょくそうH点滴の抜針I摘便J座薬投与K浣腸L血圧測定M目薬投与N服薬、等が挙げられる。
・ 特にインシュリン注射は、朝食前に打つ必要があるが、看護師が出社する時刻には朝食が終了しており、実態として看護師が対応できない状況が発生している。
(2) 介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質の向上
・ ケアプランの作成等にさらに専門性を持てるようにするための能力向上のあり方や、中立公正性を確保するための支援策等を検討する。
(3) 障害者に対する支援費制度の見直し
・ 介護保険制度の見直しと併せて検討する。
2.新規事項
(1) 療養病床の位置付けの見直し
・ 実態として、医療行為が主たる業務となっているので、介護保険から切り離して、医療保険で対応することを検討する。医療WG との共同案件にて取り進める。
(2) ホテルコストを自己負担とする前提で、低所得者対策を見直す
・ 介護保険で低所得者対策等をカバーせず、住宅扶助、介護扶助等の社会福祉制度をサブシステムとして活用する。


規制改革・民間開放推進会議「中間とりまとめ」に対する厚生労働省の考え方

平成16年8月5日
厚生労働省

1 基本的考え方
○ このたび、平成16年8月3日付けで規制改革・民間開放推進会議は、医療・福祉、雇用・
労働などの規制改革・民間開放推進に関する「中間とりまとめ」を公表した。
○ 厚生労働省としては、昨年12月22日に旧総合規制改革会議が「第3次答申」を行った際
にも示したとおり、経済社会システムの構造改革が進む中で、サービスの質の向上、利用者の
選択の拡大や労働者が安心して持てる能力を十分に発揮できることにつながるような規制改革・民間開放についてはこれまでも積極的に対応してきているところであるが、その一方、厚
生労働行政の分野は、サービスや規制の内容が国民の生命・生活や労働者の労働条件などと密
接に関わるものであり、また、そのサービスの大半が保険財源や公費で賄われているなど、他
の分野とは異なる性格を有していることから、規制改革・民間開放を進めるに当たっては、そ
れぞれの分野ごとに慎重な検討を行うことが必要である、と考えている。
○ 今回の「中間とりまとめ」のうち、「W 官業の民間開放の推進」においては、当面重点的に民間開放を進めるべきと考える官業の類型についての提案がなされるとともに、具体的な検討事項例が挙げられている。検討事項例として挙げられている厚生労働省の事務・事業は、国民の生命・生活や労働者の労働条件などと密接に関わり、基本的に他の分野とは異なる性格を有しているものであることから、同「中間とりまとめ」の別表において、それぞれの分野ごとに具体的理由を付して慎重な検討を行うことの必要性を示したところである。
○ また、「中間とりまとめ」の「X 主要官製市場の改革の推進」においては、「医療分野」、
「介護分野」について規制改革・民間開放推進会議から「現状認識」及び「具体的施策」が示
されているが、それらについては、当省の考え方を整理し、別添のとおり、公表することとし
たものである。
○ 厚生労働省としては、今後、これらの考え方を基本に、引き続き、規制改革・民間開放推進会議と幅広く議論を行い、サービスの利用者である国民にとって真に望ましい姿がどうあるべきかを考えてまいりたい。

 『中間とりまとめ』(2)施設サービスと在宅サービスの一元化 @社会福祉法人への施設整備補助の廃止 に対する「厚生労働省の考え方」

○ ホテルコストについては「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」等を踏まえて、介護保険制度改革の中で利用者負担の見直しを検討することとしている。
○ 施設サービス給付費は介護費用全体の53%を占めており、地域の施設整備率は、地域の介護費用、すなわち保険料水準に大きな影響を与える。これは、当該保険者の負担が増えるだけではなく、租税負担や第2号被保険者の保険料という形で他地域にも波及することとなる。
○ 施設整備費補助には、地域の整備水準を調整する機能があり、その結果、特別養護老人ホームについては、65歳以上人口10万人に対する定員数で最大と最小の都道府県との差異が約1.8倍と、一定の成果を挙げており、保険給付が必要以上に増大することを防いでいる。
○ 仮にこのような中で施設整備費補助を廃止したとすると、大規模広域型の施設が必要以上に建設され、本来在宅でも生活が可能な程度の要介護者への施設サービスの提供が促進されるおそれがある。これは介護サービスの質の向上、介護保険財政の両面から見て問題が大きい。
○ なお、社会福祉施設等施設整備費補助や老人保健施設に対する施設整備補助等現行の補助金については、地方の自主性をより高めるという観点や小規模・多機能型の施設整備の推進や施設入所者の居住環境の向上などの観点から、改革に取り組んでいく必要があると考える。
○ 介護1の図では、特定施設の1人当たり給付額を、介護保険3施設の介護に係る給付額であると仮定して試算しているが、特定施設と介護保険3施設では、医師等の配置の有無など人員配置が異なるものであり、介護サービスの内容が違うことから、試算として適切でなく、今後の議論の参考とすべきではない。
 (参考)
○ 介護1の図では、介護保険3施設に要する費用について、介護、食事、居住等に要する費用の割合をそれぞれ約67%、19%、14%としている。
(介護1の図は、http://www.kisei-kaikaku.go.jp/minutes/meeting/2004/04/item02.pdfを参照)

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